抄録
岸壁の耐震性能照査において変形量を評価する場合,2次元地震応答解析が標準的なツールとして利用されるが,計算負荷が大きいという問題がある.このため,例えば,既存岸壁の地震時被災程度を概略推定する場合等において,簡易に岸壁の残留変形量を評価できる手法が望まれている.
本研究では,重力式岸壁及び矢板式岸壁を対象として,地盤条件や水深・照査用震度等の設計諸元が異なる5,600ケースの2次元地震応答解析を行い,2次元地震応答解析により得られた岸壁変形量を別途実施した1次元地震応答解析の結果等から算定する提案式を重回帰分析に基づき構築した.更に,実設計における2次元地震応答解析を用いた変形量照査結果及び過去の被災事例を用いて提案式の適用性を確認した.