抄録
津波による橋桁の流出現象を3次元数値計算モデルにより解析し,津波力の低減対策としてフェアリングを側面に取り付けた桁と防衝工を横に設置した桁を対象に,それらの低減対策が桁の移動に与える影響を検討した.その結果,フェアリングと防衝工には水平波力を低減させる効果があることを示した.また,斜め上を向く面があるフェアリングには,鉛直下向きの力つまり静止摩擦力を増加させる効果があるために桁の流出を遅らせられる効果があることを明らかにした.逆に,斜め下を向く面があるフェアリングには,鉛直下向きの力を抑え静止摩擦力を低下させる負の効果があるために桁の流出を早めてしまうことが判明した.また,防衝工にも静止摩擦力を低下させる負の効果があるが,水平波力を十分に低減できれば桁の流出を抑える効果があることを示した.