抄録
東北地方太平洋沖地震津波に際しては,ハード対策の限界を補うソフト対策の重要性が明白となり,巨大津波に対して,安全性の向上を考慮したハードとソフトの連携的な整備が必要とされている.本研究では,巨大津波来襲から2年が経過した市町村の防災対策の実態をアンケート調査により検討し,調査結果に基づいた災害教育手法を提案した.その結果,避難勧告・指示の発令基準と発令の意志決定プロセスなどについて,震災から2年が経過し,各地域間の対策に差違が生じ,充分な整備がなされていない場合も確認できた.また,学校教育において,参加者が主体的に避難活動に取り組むことによって,安全の確保を支援するデザイン教育と災害伝承とを融合させた教育手法について検討した.