土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.29
津波レベルの違いによる避難時の人的被害予測に関する研究
安野 浩一朗森屋 陽一西畑 剛間瀬 肇森 信人
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2013 年 69 巻 2 号 p. I_49-I_54

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抄録

 東日本大震災による甚大な津波被害の発生を踏まえ,人的被害の抑制を第一に考える減災対策が重要視されるようになった.本研究は,気仙沼地点を対象として,これまでの想定連動型地震津波(レベル1津波),および東北地方太平洋沖地震津波(レベル2津波)について避難行動解析を実施し,津波レベルや避難方法,年齢の違い等が人的被害へ与える影響について詳細に解析した.その結果,レベル2津波では,海沿いの60 歳以上の高齢者は地震発生直後に徒歩による避難を開始したとしても避難困難となる可能性が高く,地震発生から40分後に避難開始した場合で30%の避難困難者が発生する.また,自動車による避難では,走行車両の数による避難成功率の変化が大きく,1000台程度まで車両が増加すると,徒歩避難よりもかえって避難時間を要し,40分後に避難開始した場合で40%台まで避難成功率が低下することなどの結果が得られた.

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© 2013 公益社団法人 土木学会
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