抄録
開発事業と環境保全の両立は二律背反の代表的な存在であり,特に海面の埋立事業ではなおさらである.博多湾における面積約401haの島方式の埋立造成事業である「アイランドシティ整備事業」とその周辺の和白干潟,浅海域および海岸線の約550haのエリアからなる「エコパークゾーン」の環境保全・創造事業は,一体不可分の事業として平成5年に計画され,現在も整備が進められている.エコパークゾーンの整備については,アイランドシティのまちづくりと整合を図りながら進めており,そのうち,御島ゾーンでは覆砂等の水底質の改善や海岸整備等の数多くの事業を行ってきた.計画当初は市民から埋立による環境影響を懸念する声もあったが,多様な生物の生息空間が確保され,自然と人の共生空間が創出されつつある.