抄録
海岸沿いの鉄道は,高波によって運行障害が発生する危険性がある.本研究では,実際に発生した運行障害事例を対象として水理模型実験により越波状況を再現するとともに,越波飛沫の飛散が鉄道線路に及ぼす影響を明らかにした.次に,より厳しい波浪条件に対して,越波による道床バラストの散乱特性を検討した.実験結果に基づいて消波ブロックによって発生する越波飛沫の軌跡の算定式を求めるとともに,沖波波高が6mを越える条件において道床が大きく変形することを示した.越波対策として開口率30%の防波フェンスを設置することにより,道床被害が大幅に低減できる.また,防波フェンスの高さを適切に設定することで,越波飛沫による運行障害を防ぐことができる.