2013 年 69 巻 2 号 p. I_712-I_717
2011年3月の東北地方太平洋沖地震では,東日本だけでなく西日本太平洋岸の各地においても津波の到達が見られた.本研究では,東北地方太平洋沖地震発生時に,四国太平洋岸,大阪湾,播磨灘で観測されていた水位,流向・流速,水温・塩分の連続モニタリング結果を用いて,東北地方太平洋沖地震津波の到達による四国・瀬戸内海域の水塊構造への影響を明らかにした.解析の結果,四万十川沖とその河口ならびに関空MT局では東北地方太平洋沖地震で発生した津波の到達が確認され,水位変動,流速,水温・塩分の鉛直分布に影響を及ぼしていたことがわかった.また,津波到達時には四万十川河口内に形成されていた成層が一時的に弱められることが明らかになったほか,津波到達から10日後には水面変動成分を含む高周波数領域でのパワースペクトルの顕著な減少も確認された.