抄録
本研究は,各季節の宮古湾全体の流動・密度構造を明らかにすること,および東北地方太平洋沖地震津波による地形変化が宮古湾の流動・密度構造に与える影響を評価することを目的とし,海洋モデルおよび津波発生前後の地形データを用いて,宮古湾の海水流動および密度場の再現シミュレーションを行った.
その結果,宮古湾に接続する閉伊川および津軽石川の河川流量の変化が湾内の海面密度分布を大きく支配することが明らかになるとともに,気象イベント時には,強風の影響を受け,流動・密度場が短時間に変化することが示された.また,東北地方太平洋沖地震津波による地形変化は,宮古湾全体の流動・密度場に影響を与えないものの,局所的には,津波発生前に比べて発生後の海面密度が高くなることや流向を反転させるなどの影響を持つことが明らかとなった.