抄録
エルミート完全3次要素の導入は,移流計算に高い精度を有するCIP法を非構造格子へ展開する方法の一つである.2次元問題においては三角形を用いて計算領域を分割するため,海域における波,流れ,物質移動に対する数値解析において複雑な境界条件下での適用性が期待できるが,移流計算の精度自体についても構造格子のものとの比較に基づいて把握するため,平面問題を対象とした検討を行った.矩形格子を対角線で2つのエルミート完全3次三角形要素に分割したスキームを用いてガウシアン型の初期条件に対する移流計算およびノイマンの方法による安定性解析を行い,平面問題におけるCIP法の基本形といえるA型CIP法との比較を行った.三角形要素は流れが境界線と平行に近づくと精度が低下するという特性を有しているが,それ以外の条件では,格子間隔を半分にした矩形格子のモデルに迫る精度を示した.