2013 年 69 巻 2 号 p. I_778-I_783
地球規模での長期的な気候変動により,将来気候において波浪などの沿岸外力が変わることが予想されている.長期的な気候変動による沿岸外力の変化は波高だけではなく,周期や波向等の代表諸元も変化することが懸念される.波浪諸元は,海岸が位置する海域や地形等の地域特性によって大きく変わることから,長期的な汀線変化への影響を把握するためには,地域特性を踏まえた波浪変動によって生じるそれらの影響を考慮する必要がある.
本研究では,既往の現地調査や航空写真解析から推察された長期的な沿岸特性を考慮した計算条件及び汀線変化モデルを構築した.そのモデルをベースとして,長期的な気候変動に伴う今世紀末(2075-2099年)の海水面温度の違いによる解析パターンを用いた波浪予測結果を用いて,対象地区周辺における,将来気候条件下における汀線の将来変化を推定し,汀線への影響を検討した.