抄録
茨城県大津漁港の防波堤による波の遮蔽域では,過去に大量の土砂が堆積したが,堆砂量は天妃山以北の神岡上・磯原海岸の侵食土砂量よりはるかに大きかった.この原因として,砂が南側区域から運び込まれた可能性が考えられたことから,大津漁港~高戸岬を対象として空中写真による汀線変化解析を行うとともに,そこでの海浜土砂変化量を算出した.この結果,1975~2009年間に,大津漁港~天妃山間(全長4.5km)では7.0×105m3土砂量が増加したのに対し,天妃山~高戸鼻間(13km)では8.4×105m3の減少であり,両者はほぼ対応を示した.これより天妃山の岩礁は沿岸漂砂の固定境界とはならないことが分かった.