抄録
大阪湾湾奥の尼崎港で行われている,過剰な栄養塩を海と陸とで循環させることによる環境改善,地域課題解決に向けた協働の取り組みについて評価を行った.協働の規模で可能な「水環境改善の効果」を定量的に理解することができた.特に栄養塩の系外除去による汚濁防止効果は確実でわかりやすく,広く共有できる結果であった.「地域課題の解決」では,本活動の成果は埋立地の緑化や低炭素型社会形成にも寄与できること,環境意識を高め,尼崎の海への郷土意識を醸成させることもできていた.特に学校教育と連携すれば教育効果はさらに高めることもできると思われる.最後に協働の仕組みが活性を失わず,継続されているのは,活動の内容が多様で,多様な関心を持つ参加者に対応できていたことが示唆された.