日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
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症例
メチルエフェドリン塩酸塩によるアナフィラキシーの1例
奥田 英右岸田 寛子片岡 葉子
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2020 年 3 巻 2 号 p. 326-329

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抄録

 18歳女性。市販感冒薬を内服後に緊急治療を要する呼吸困難と全身に蕁麻疹が出現し,救急治療を受け改善した。アナフィラキシーの原因薬検索目的で当科紹介された。被疑薬はメチルエフェドリンを含む8種の構成成分で構成されている。個々の成分について各々皮膚テスト(プリックテスト,スクラッチチャンバーテスト)・内服誘発テスト施行した。メチルエフェドリン以外の皮膚テスト,内服テストはすべて陰性。メチルエフェドリン塩酸塩は単独で入手困難であったため,同成分を含むフスコデ®配合錠を用いた。フスコデ®配合錠は,感冒薬として多く用いられる。フスコデ®配合錠には鎮咳作用のあるジヒドロコデインリン酸塩,dl-メチルエフェドリン塩酸塩,抗ヒスタミン作用のクロルフェニラミンマレイン酸塩が含まれている。フスコデ®配合錠内服75分後,全身に紅斑を伴う呼吸困難と鼻漏が誘発された。フスコデ®配合錠の他の成分ではいかなる症状も誘発されなかった。メチルエフェドリンがアナフィラキシーの原因薬品と推測された。これはメチルエフェドリンによる最初のアナフィラキシー報告例である。

(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌,3(2):326-329,2020)

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