抄録
潮干狩り場や海水浴場等として多様に利用されている唐船海岸では,平成24年4月に海岸の広い範囲が軟弱な泥(ぬかるみ)に覆われ,一部では足が抜けないほど危険な状態となった.全国的にも極めて稀な現象であり,その発生原因と対策立案のために,現地調査及び数値計算を行った.検討の結果,出水による海岸への直接的な細粒土の供給,出水後の潮汐や波浪による海岸への輸送が行われ,汀線付近では形成されたバートラフのトラフ部に泥が堆積し,固定化されることでぬかるみが発生すると考えられた.また,対策工としては,表層部のぬかるみを除去し,現地砂よりも粒径の粗い砂で覆砂することにより,細粒土の海岸への堆積を抑制できることが明らかとなった.