抄録
本研究は,新潟海岸金衛町工区で整備中のふた山型人工リーフについて,波浪観測調査から波浪低減効果,深浅測量から海浜安定性の時点評価等を行ったものである.
波浪低減効果については,金衛町工区のふた山型人工リーフと有明浜工区の通常型の人工リーフの波高伝達率を比較したところ,ふた山型人工リーフは天端幅が短いため砕波が生じにくく,波高伝達率が大きくなることが示された.ただし,うちあげ高低減の観点から必要となる波高伝達率0.6は満足することが推察できた.
海浜安定性については,整備途中の現時点で明確な土砂堆積傾向が見られず,その要因として人工リーフの未整備区間である開口部から速い沖向き流れが生じ,それに伴い人工リーフ岸側の土砂が沖へ流出していることが考えられた.