抄録
全国的に砂浜海岸の侵食問題は深刻化しており,鳥取県東部に位置する鳥取砂丘海岸でも海岸侵食が激化し,危機的状況であった.一方で港湾や河口では堆砂問題が生じていたことから,平成17年度から浚渫土砂を侵食域に投入するサンドリサイクルを実施している.本研究ではこのサンドリサイクルによる土砂投入の効果を検証するとともに,平成22年度および23年度に行われた大規模養浜の効果とその安定性の検討を行った.土砂量変化および汀線変化の解析を行い,大規模養浜により海岸全体の土砂量は一時的に増加し,その後はもとの土砂量にもどりつつあるが,汀線の回復は現在もある程度維持されていることが確認された.特に,サンドリサイクル後も侵食傾向であった土砂投入付近の汀線は大規模養浜により前進し,その後も汀線は維持されていることがわかった.