2015 年 71 巻 2 号 p. I_485-I_490
気仙沼湾では,津波で流失した重油が混在する砕屑粒子が湾奥から湾内に再移動し,復興した養殖施設での2次汚染が懸念されている.砕屑粒子等は潮汐作用によって,湾奥から懸濁物質が通過する大島瀬戸周辺に流出することが懸念されるため,ADCPを用いた懸濁物質SSの空間分布特性を検討した.懸濁物質SS濃度は,ADCPの後方散乱強度と多項目水質計からの濁度FTUからSS(mg/L)へ定式化した.西湾へのSS移動量は,最大約200g/secを示し,その約50%は西湾の湾口へ移流・堆積する可能性が高い.瞬間流速と空間平均流速の流動場の検討より,瀬戸の西側で水深スケールの渦形成の可能性がある.