抄録
港湾内に位置する石油コンビナートの貯蔵タンク用地に津波が遡上する状況を想定し,なるべく実際に近い条件で模型実験を実施した.高さ及び時間波形の異なる3種類の津波を発生させ,タンクに作用する津波流体力の特性を明らかにした.本研究では,貯蔵用地内の水位及び流速の特性,流体力の特性,タンク群体としての影響,防油堤の影響などについて論じた.大きな津波流体力は,津波遡上時に波面前面がタンクに衝突する際に発生する衝撃力,および遡上後の波の再反射に伴うモリソン波力的な流体力の2種類が存在することがわかった.特に津波波高が大きくない条件では後者の流体力が卓越した.防油堤の効果については必ずしも波力の低減に寄与するわけではないこと,群体の影響については,水平力については低減する場合が多いが,鉛直力については増大する場合も多いことがわかった.