2015 年 71 巻 2 号 p. I_695-I_700
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震津波では,津波によって甚大な人的損失を生じた.今後,津波の規模によっては,海岸保全施設による防護だけでなく,住民の積極的な避難行動により減災を促進させようという提案が散見される.
本研究では,地域に密着した存在である寺院に注目し,その寺院の避難場所としての機能について,東北地方太平洋沖地震津波の浸水域およびその近傍に存在する寺院を中心にアンケート調査を行い,津波時の状況を調査した.また,この調査を踏まえて,今後,南海トラフ巨大地震に伴う津波の想定浸水域に存在する寺院へアンケート調査を行い,寺院の避難場所としての機能について二,三の考察を行った.