土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.31
数値シミュレーションを用いた西表島北西部のウミショウブ群落における種子の分散力評価
村上 智一河野 裕美玉本 満水谷 晃下川 信也
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2015 年 71 巻 2 号 p. I_951-I_956

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抄録

 本研究では,西表島北西部のウミショウブ群落における種子を対象として,観察・実験データに基づいた数値シミュレーションを実施した.そして,群落の分布や規模を決定付けるだけでなく,衰退・消失した群落の自然回復力に関わる種子の分散力を評価した.
 その結果,種子の平均浮遊時間2.4時間の平均移動距離は,261 mに留まることが明らかとなった.これは,東西約10 km,南北約15 kmの西表島北西部のスケールに対して極めて小さいものである.移動距離の小ささの主因は,種子の浮遊時間の短さにあり,さらに群落形成場所の弱い流速にも一因があることがわかった.また,群落間の種子の交流数を調べ,消失した群落には,他群落からの種子の加入がほぼないことなどが示された.これらのことから,ウミショウブ種子の分散力は極めて弱いと結論付けられた.

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© 2015 公益社団法人 土木学会
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