土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.32
地盤環境を考慮したアサリ成育場の新たな維持・管理手法の開発と現地試験による実証
竹山 佳奈佐々 真志梁 順普渡辺 啓太齋藤 輝彦
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2016 年 72 巻 2 号 p. I_1093-I_1098

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抄録

 干潟造成の整備目標の一つとしてアサリ成育場の維持・管理があげられる.大島人工干潟では,干潟造成後に魚類や巻貝による食害が続いており,対策として干潟上に被覆網を設置している.しかしながら,潮下帯付近では被覆網では防止できないツメタガイによる食害が続いていた.水槽試験を実施した結果,10-20mmの砕石を100mm以上の層厚で覆礫することで,本種による食害防止効果を得ることができた.そこで,大島人工干潟にて小規模な実証試験を実施した.その結果,覆礫区は被覆網(砂)区よりも倍以上のアサリが生残しており,ツメタガイをはじめとする食害を防止できることが明らかとなった.以上の結果より,造成した干潟を部分的に覆礫あるいは礫を混合した底質とする地盤環境を考慮したアサリ成育場の新たな維持・管理手法を開発し,その有効性について実証した.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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