抄録
高度に発展したグローバル・サプライチェーンによって,一地域で発生した災害が,世界中の経済に影響を及ぼすようになった.このため,平常時の効率性を損なうことなく,災害の経済被害の波及をできる限り押さえることが可能な物流網の構築が急務である.
本稿は,2014~2015年の米国西岸港湾の混乱が,国際海上コンテナ輸送,特に,日・米間輸送に与えた影響について,基礎的な分析を行ったものである.その結果,米国西岸港湾での荷役効率の低下状況を推定し,日・米間の輸送日数の増加及び航空輸送・東岸港湾利用へのシフト状況から直接被害額を試算した.