抄録
本研究では,第3世代波浪モデルWAMとWW3を用いて波浪の再現性を検討し,設計波浪の算定や波浪予測における両モデルの適用性を調べた.近年日本周辺に高波浪をもたらした台風や低気圧,冬季風浪の異常時および常時について,各モデルの波浪追算を行った.波浪推算結果とナウファスGPS波浪計および沿岸波浪計の観測値との比較により,両モデルの波浪推算特性,特にうねり性波浪に対する再現性と課題を明らかにした.その結果,異常時の多くのケースでは,WW3のピーク時波高や全期間の周期で実測値とよく一致していること,また一部のケースでは,波高のピークで過大評価であることを示した.過大評価については,対象事例を増やし,その原因を究明しておく必要がある.