抄録
近年,気象庁によりMSM(Meso Scale Model)に基づく日本周辺の高空間解像度風資料が公開されているが,海上風に関しては比較に用いるべき観測資料が不足していることから,その精度の検証は十分でない.本研究では,異なる期間をもつ10年前後のブイロボット観測風資料や衛星観測結果に基づくblended sea winds資料,さらにGPSブイにおける2台風時の観測風速資料を用いてMSM風資料の精度を間接的または直接的に検討した.得られた知見はつぎのようである.1)期間が異なる10年前後のblended sea winds資料とブイロボット観測風資料およびMSM風資料の相互比較から,MSM風資料がブイロボット観測風資料と概略で対応する特性が間接的に推測される.2)MSM風速は継続時間5日程度のGPSブイ観測風速に経時的に追従するが,減衰期には観測風速ほど急減せず,大きめの値を与える.