抄録
本研究ではA1Bシナリオが仮定された高解像度全球大気モデルMRI-AGCM3.2Hの気候予測値(海面更正気圧,6時間毎)から台風を抽出し,日本列島の周辺海域に来襲する台風の平均的な強度や経路の出現特性の将来変化について検討した.その結果,海面水温分布の変化パターンによらず日本列島の周辺における台風の平均的な強度は増加するものの,個数については必ずしも将来で減少せず,台風が増加する海面水温変化パターンも存在することが明らかになった.また,MRI-AGCM3.2SとMRI-AGCM3.2Hの解像度のみが異なる条件での比較から,海域毎の平均的な中心気圧や個数の増減については概ね同様の傾向を得たが,台風の中心が各緯度線を通過する際の通過経度の平均値から推定した平均経路については両者の結果がばらつき,台風経路を平行移動させるような将来変化を仮定するのが難しいことが改めて示唆される結果であった.