2016 年 72 巻 2 号 p. I_449-I_454
浚渫土砂に覆砂が施された人工干潟において,多チャンネル型表面波探査(MASW)による継続的モニタリングを実施し,物性の変化をせん断波速度によって把握してきた.干出時にジオフォンを使って実施してきたこれまでの調査では,圧密沈下によって干潮時にも水没するようになったエリアのモニタリングは継続できなくなってしまう.そこで本研究では,人工干潟の維持管理にMASWを適用する上での課題となる水没エリアへの対応を目的として,水没してしまった(あるいは将来水没するであろう)エリアにおいてハイドロフォンを使ったMASWの適用を試みた.ハイドロフォンを使ったMASWの結果は,ジオフォンを使ったMASWの結果とほぼ同様のものが得られたが,軟弱層での減衰の影響を受けやすく,覆砂厚を薄く評価する傾向があること,軟弱層の厚さを捉えられない傾向があることに留意が必要である.