抄録
海洋鋼構造物の防食方法として,アルミニウム陽極による電気防食(流電陽極方式)が広く採用されているが,電気防食の維持管理では,定期的に潜水等による目視調査が必要であり,陽極全数の調査が困難であるほか,陽極材の耐用年数が設計耐用年数を超過するなど,課題も多く残されている.本稿では,陽極取替後19年が経過した鋼管杭ドルフィン式桟橋を対象として,全陽極の消耗量と外周杭の全ての電位を測定した結果から,簡便な電位測定調査による陽極残質量の推定法の検討を行った.桟橋構造物全体が連続した電気回路としてモデル化した電位推定モデルを構築するとともに,汎用できる最適な電気防食の維持管理方法についての提案を行った.