2016 年 72 巻 2 号 p. I_67-I_72
近年,局所的な海岸侵食が発生しているベトナム・ニャチャン海岸において,二台のビデオカメラにより汀線変動を約13ヶ月にわたってモニターした.その結果,約650 mの区間において季節的な変動を示していることが明らかになった.その変動幅は砂浜の端部で40 mほどであり,端部からの距離の増加とともに減少していることが分かった.また,画像に記録された砕波帯幅の大小の情報から,北東モンスーン期とそれ以外の時期において大きく異なる波浪特性を確認することが出来た.得られた汀線変化データから沿岸漂砂量を推定するにあたり,このような波浪の大小に伴う移動限界水深の変化を考慮する必要があることから,単純な海浜断面の仮定により,砕波帯幅から移動限界水深を推定した.従来の一定値とする手法に比べ,沿岸漂砂量について有意な違いを生むことが明らかになった.