2016 年 72 巻 2 号 p. I_790-I_795
三重県南部に位置する七里御浜では海岸侵食が深刻な問題となって久しく,特に侵食が厳しい井田海岸では,様々な海岸侵食対策が行われてきた.しかし,依然として礫浜の回復には至っていないのが現状である.本研究では,同海岸を対象に行った3回のUAV-SfM測量と,ネットワークカメラによる撮影画像から,礫浜の海浜変形について検討した.その結果,礫浜の広範囲な3次元モデルの取得や断面図および体積量の算定を行えることから,海浜変形の把握にUAV-SfM測量が有用であることを示した.また,七里御浜井田海岸において,沿岸方向となる波向かつ有義波高4 m以上の波浪状況のときに侵食性,法線方向となる波向きかつ有義波高2 ~4 m程度の波浪状況のときに堆積性,有義波周期や波向に関係なく,有義波高1 m程度の波浪条件が続くときに安定状態の傾向になることを示した.