抄録
海底斜面の地震時安定性評価手法の適用性を検証するために,水深を45mと70mにした90G場の遠心載荷実験を実施した.斜面は模擬粘土を用いて作製したが,模擬粘土の強度分布は日本近海の海底粘土の平均的な強度分布に近いものであった.遠心実験では傾斜台を用いて静的な震度を斜面に作用させて,崩壊が生じる震度とすべり面形状を調べた.
その結果,斜面先破壊に近い崩壊形態を示し,解析で求めた臨界円よりも浅い位置にすべりが発生した.また水深が深いほど滑動を開始する震度が若干ではあるが大きくなった.得られたすべり面形状と定体積一面せん断試験より求めた強度定数を用いてスライス法による斜面安定解析を実施した.その結果,修正フェレニウス法により実験結果を概ね評価できることがわかった.