抄録
2012年,行橋市の沓尾海岸では祓川河口左岸側に突堤が伸ばされるとともに養浜が行われた.その後,この突堤が祓川河口へと向かう沿岸漂砂を阻止したため,突堤の下手側に位置する砂州では著しい侵食が起きた.一方,祓川河口右岸にある沓尾漁港では河川流により干潟面へと運ばれた砂の回帰が続き,沓尾漁港の泊地を埋めて堆積するなど,沓尾海岸では著しい地形変化が生じている.本研究では,祓川河口部を対象として既往衛星画像の解析とともに現地調査により祓川河口部の地形変化を詳しく調べた.また,筆者らによる既往移動床模型実験結果と実測データとの比較により,沓尾漁港内での堆積機構が既往模型実験の結果によりうまく説明できることを明らかにした.