抄録
好汚濁性種であるアカムシユスリカ幼虫(Propsilocerus akamusi)を用いて地域未利用資源としての貝殻散布に伴う生態系影響を評価し,最適散布量および底質改善材としての貝殻の有効性について検討を行った.アカムシユスリカの生存率は,未焼成の貝殻散布では徐々に減少するのものの生存率は50%以上であったが,焼成系では100g/m2以上散布系から生存率が50%以下になった.LC50(半数致死濃度)は,未焼成系;199g/m2,焼成系;97g/m2となり,焼成処理系は未焼成系の0.5倍の散布量で同等の効果を示すことが示された.生態系保全と水質改善の両立が可能である地域未利用資源としての貝殻の最適散布量は,焼成処理100g/m2散布系と評価された.