抄録
2016年西表島網取湾の礁縁から水深40 mに至る礁斜面においてサンゴの白化の状況を調査した.また,白化に関わる水温などの物理環境の観測も実施した.これらによって得られた主要な結果は以下である.
(1) 全サンゴの白化率は,水深20 m以浅において50%以上と高く,特に水深15 mでは最大となる87%を記録した.(2) 卓状サンゴの白化率は,極めて高く91%であった.(3) 枝状サンゴの白化率は,深部の水深30 mでも49%を示した.(4) 2016年7月24日以降に白化現象が生じた.(5) 2016年は,7月および8月に網取湾に接近した大きな台風が無かった.そのため,8月9日~8月29日の間に30℃を超える高水温が継続して発生し,これがサンゴの白化を進行させた.