抄録
石炭灰造粒物(GCA)は石炭燃焼時に得られるフライアッシュを造粒し製造されている.高温で燃焼された石炭灰は急激に冷やされることでその構造はガラス状となりCa2+やSO42-等のミネラルと酸化物質を容易に溶出できる分子構造となる.本研究はGCAから溶出されるミネラルに注目し,GCAによるリン酸の固定機構を考察した.その結果,GCAによるリン酸の固定はpH及びリン酸濃度に依存することが明らかとなった.リン酸はpH>10でリン酸カルシウムとして固定されること,GCAには溶液全体をpH>10まで上昇させる能力がないことから,GCAを構成するCaOが溶解時にGCAの極近傍にpH>10範囲が形成され,リン酸を固定していることが推定された.