2018 年 74 巻 2 号 p. I_210-I_215
本研究では,浮遊砂による流体の密度と粘性係数の変化を考慮可能な数値計算モデルにより陸上構造物への作用津波力に関する数値解析を実施し,津波作用開始直後のサージフロント波圧による最大津波力と準定常的な持続波圧による最大津波力に与える浮遊砂の影響を検討した.持続波圧による最大津波力に関して,浮遊砂が存在しない状態での値が与えられれば,想定する浮遊砂濃度に基づく流体の密度を考慮することで,安全側の評価が行える可能性があることが判明した.一方,サージフロント波圧による最大津波力に関しては,浮遊砂を含むことによる流体の密度の増加以上に最大津波力も増加する可能性が高いため,想定する浮遊砂濃度に基づく流体の密度の考慮だけでは評価が行えず,浮遊砂を含んだ津波を対象に検討を行うことの重要性を示した.