2018 年 74 巻 2 号 p. I_222-I_227
防波堤に津波が作用すると,防波堤の港内外の水位差により基礎マウンド内に浸透流が発生し,基礎マウンドの支持力が低下することが,既往の研究により分かっている.一般的な防波堤においては,支持力の低下は,港内外の水位差に比例し,10mの水位差で最大2割程度であると考えられている.しかし,支持力低下のメカニズムや,腹付工を有する防波堤に対する浸透流の影響については,十分に解明されていない.そこで,本研究では腹付工の形状や防波堤諸元(ケーソン幅,基礎マウンド層厚等)を変化させた多数の防波堤断面に対して,基礎マウンド内の浸透流を考慮できる数値計算を実施し,この支持力の低下の程度を定量的に評価した.また,解析結果から支持力低下のメカニズムについて考察するとともに,対策方法として腹付工が有効であることを示した.