抄録
本研究は,製鋼(電気炉系)スラグが干潟造成材料として使用されてきた海砂や砂利の代替材料としての利用について検証を行うことを目的に行った.製鋼(電気炉系)スラグは,人工海水を用いた室内実験や海域での使用においてpHの上昇はなかった.アサリ幼生は,珪石砂利よりも製鋼(電気炉系)スラグに3~14倍の着底があった.アサリ稚貝の成育実験では,製鋼(電気炉系)スラグと珪石砂利でアサリ稚貝の生残率にほとんど差はなかった.海域に設置した製鋼(電気炉系)スラグと珪石砂利へのアサリ湿重量に差はほとんどなかった.製鋼(電気炉系)スラグは,干潟造成材料やアサリ成育のための被覆材料として利用されてきた珪石砂利の代替材料として利用できることが確認できた.