2018 年 74 巻 2 号 p. I_456-I_461
網取湾において礁縁から水深40 mに至る礁斜面深部までのサンゴ被度調査を実施し,得られたデータを水平・鉛直方向で比較・検討した.その主要な結果は以下である.
(1) 湾内9地点の礁縁から礁斜面深部までの形状別サンゴ被度を初めて明らかにした.(2) 卓状およびコリンボース型枝状サンゴは,礁縁部において生息が確認された一方で,それ以深では被度がほぼゼロとなった.(3) 葉状サンゴは,水深30および40 mの深部で高被度となった.(4) 網取湾では,浅部と深部で優占するサンゴの形状が大きく異なるため,礁斜面深部に生息するサンゴが礁原のサンゴの回復に寄与することは,難しいと推察される.