土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.34
東京湾奥部の都市部運河域に造成した干潟・海浜環境の長期的な変遷
竹山 佳奈田中 克彦河野 博木村 賢史中瀬 浩太岩上 貴弘
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 74 巻 2 号 p. I_510-I_515

詳細
抄録

 都市部運河域は,夏季の貧酸素化,淡水化および底質の悪化等により環境変動が大きい.運河域に造成された干潟,海浜そして浅場について,長期的な環境の変遷を明らかにするために,造成後約15年間にわたる調査を実施し,生物生息場としての機能や条件を把握することを目的とした研究をおこなった.その結果,造成直後から底生生物が加入し,毎年30種~40種が出現した.また,運河域では,地盤高が生物分布制限要因となっている可能性が示唆され,干潟造成の際には安定して生物が出現していたA.P.±0.0m~A.P.+0.5m(L.W.L付近)の範囲を拡大することで,生物の生息空間が広く確保され,早期に生物相が形成されると考えられた.また,近年注目されているグリーンインフラの考え方に基づいて,運河域に造成された干潟・海浜環境の生物生息場としての機能を整理した.

著者関連情報
© 2018 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top