抄録
大規模アンサンブル気候予測データベース(d4PDF)を用いて,将来気候における台風特性を評価した.まず,d4PDFから抽出した台風中心気圧をベストトラックデータと比較することで,モデルバイアスの把握と補正を行った.これより,d4PDFのバイアスの大きさは緯度依存性を持つことが分かり,それを考慮した補正を行うことで精度の良い補正結果を得ることできた.次いで,日本周辺における台風特性の将来変化を,将来の海面水温分布の違いに着目し評価した.その結果,台風の存在頻度は将来の海面水温分布によって異なることや,将来気候での台風強度が現在気候での強度よりも高まる程度は将来の海面水温上昇量が大きな場合に顕著であること,また将来的な台風強度の上昇量が大きい海域は海面水温分布によって異なることを明らかにした.