2018 年 74 巻 2 号 p. I_773-I_778
最大級台風の最悪コースによる三大湾への襲来に対する高潮浸水予測の数値計算は,これまで数多く行われている.その結果は自治体などにおいてハザードマップなどの防災情報として活用されている.しかし,地域の住民や子供たちに有益な防災情報として提供していると思われがちであるが,実際には災害をリアルに捉えることが難しく,発災時に取るべき行動を,感覚的・知覚的に学ぶことができない.そこで本研究では,数値計算で得られる高潮浸水の結果を基に,専門知識がない人でも直感的に浸水状況を理解してもらうため,VR(人工現実感)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いた高潮想定没入体験システムの開発と有用性の評価を行う.HMDはスマートフォンに装着して用いるため,1セット当たり約9万円と低価格で構築でき,運用が容易である.