抄録
東京湾における放射性物質の影響について,中村ら(2017)は3次元力学モデルを用いて算出した東京湾の年平均流と,海水中のスキャベンジングによる影響や海底巻き上げ,生物攪乱による海水への再浮遊などの考慮した拡散モデルによる中・長期的な放射性物質の分布状況を把握してきた.しかしながら,湾奥中央における放射性物質濃度が実測に対し過少な値となっており,河川負荷方法の検討,Falloutの負荷方法の検討等が課題として挙げられた.本研究では,Hybrid Box Modelを用いることで流動再現の精度を向上し,拡散モデルを改良して水平・鉛直分布の再現性の向上化を図った.
その結果,放射性物質の実測値を十分に再現し計算モデルの精度が高いことを示した.また,2011年初期においては,Falloutによる影響が強いこと,湾奥中央では河川負荷による影響が強いことが示唆された.