2019 年 75 巻 2 号 p. I_13-I_18
捨石護岸の施工中に台風等による高波浪が来襲して捨石堤が被災することが問題である.捨石堤の安定性の評価として天端直上の流速が重要であると考えられる.そこで本研究では,捨石堤天端直上流速を評価するための一歩として,捨石堤を多孔質体として再現した場合のOpenFOAMの適用性について検討した.水理模型実験と数値解析結果を比較したところ,実験の造波板の動きを忠実に再現することで初期波形から良好な再現性が得られた.また,捨石堤の空隙率を適正に与えることの重要性が明らかとなった.捨石の安定性評価に欠かせない流速についても検討に十分な精度であることが得られたほか,捨石堤の内部水位も再現できることがわかった.さらに,捨石堤の被災過程を評価するには規則波ではなく,不規則波による検討が必要であることが明らかとなった.