2019 年 75 巻 2 号 p. I_175-I_180
水産系副産物であるホタテ貝殻は,その処分法や活用法が現状では確立されておらず,北海道などを中心に多くの漁港周辺に野積み状態にされている.一方で,貝殻を建設資材へ有効利用する試みも図られているが,未だケーソン中詰材,漁港の岸壁の裏込め材等への利用に止まっている.
本研究では,貝殻を有効かつ大量に活用できるようにすることを目的に,破砕貝殻の特異なせん断強度特性を貝殻の破砕粒径ごとに室内試験により把握した上で,軟弱地盤対策として破砕貝殻のせん断強度特性を考慮した地盤改良材に適用した場合の対策効果を,粘土地盤と破砕貝殻との複合地盤の円弧すべり計算および一次元有効応力解析により検討した.その結果,破砕貝殻は粘土や砂で構成されている軟弱地盤の地盤改良材として効果的に利活用できる可能性を有する材料であることを解析的に明らかにした.