2019 年 75 巻 2 号 p. I_25-I_30
2011年東北地方太平洋沖地震津波では,沿岸部に立地する石油コンビナートなどにおいて多くの危険物屋外タンク貯蔵所が甚大な被害を受けた.このうち,1,000kL未満である「小規模タンク」が約90%と報告されており,これらを対象にした津波時の安全方策を講じることは極めて重要である.
そこで,著者らは小規模タンク本体への津波対策として,耐久性(耐食性),施工性および引張強度に優れた炭素繊維シート(CFRP)による滑動・漂流防止対策工を提案している.タンク基部とRC基礎をCFRPで面的に拘束するもの,およびタンク側板の中部にCFRPを介してアイプレートを施工してワイヤーをグラウンドアンカーなどに展張するものである.本研究では,提案した対策工について津波外力に関する水理模型実験とCFD解析をおこなった.