2019 年 75 巻 2 号 p. I_253-I_258
本研究では,河口砂州の発達状況が,海域から河口内への波浪の侵入特性に与える影響を明らかにすることを目的とし,鳥取県中部を流れる一級河川天神川の実地形を対象に,砂州開口位置,開口部周辺水深および開口幅を系統的に変化させた数値解析により検討を行った.解析モデルには,修正ブシネスク方程式によるNOWT-PARIを採用した.解析の結果,規則波・不規則波および砂州開口位置に関係なく,砂州開口幅がある程度広くても,水理条件によっては開口部から侵入してきた波は対岸方向へと偏向し,河口深部への波浪の侵入が軽減されている可能性があることを明らかにした.また,河口内では,砂州開口部からの流れの流入に伴う大規模な渦流が形成されており,この渦流の影響により砂州開口部から侵入してきた波が対岸方向へと偏向している可能性があることを指摘した.