2019 年 75 巻 2 号 p. I_385-I_390
港湾(国交省所管)の設計基準には,係船岸のレベル1地震動に関する耐震設計用の照査用震度の設定手法として,地震動の周波数特性および構造物の変形量を考慮したフィルター関数を使用する方法が示されている.一方,漁港(水産庁所管)については重力式係船岸に対するフィルター関数の係数は示されているが,矢板式については示されていなかった.漁港と港湾との水深の違い,標準的に使用されている設計方法の違いにより,漁港の矢板式係船岸には港湾とは別の係数が必要である.そこで,漁港の典型的な矢板式係船岸をモデル化した二次元地震応答解析を行って,フィルター関数の係数の算出を行った.また,レベル1地震動程度の地震動が作用する際に部材応力が降伏に至らないことを確認した.