2019 年 75 巻 2 号 p. I_486-I_491
本研究は,年々漁獲高が減少傾向にあるアサリについて,短時間で多面的に稚貝の生息適性を推定するために,UAVによる空撮画像の分析,底質の粒度分析および蛍光X線分析を用い,アサリ稚貝の生息適地推定方法の開発を行うことを目的とした.空撮は,約2,000万画素のUAV搭載カメラでアサリ漁場を撮影した.その後,3次元モデルを作成しGISによる分析により地盤情報を得た.さらに粒度分析の結果を加え地盤情報とした.底質は,蛍光X線分析を用い分析し,底質情報とした.次に,アサリ稚貝の個体数を目的変数とし,地盤情報および底質情報を説明変数とし重回帰分析を行った結果,R=0.7以上の相関を示した.これらの結果から,本手法により短時間で多面的にアサリ稚貝の生息適地を推定できる可能性が示された.