2019 年 75 巻 2 号 p. I_492-I_497
北海道南西部に位置する江良漁港(松前町)の港内蓄養施設において,人工種苗を用いたアサリ垂下養殖試験を行い,殻長の増加量,蓄養施設内の物理環境を把握するとともに,波浪環境下でのアサリや基質の移動に関する室内実験結果から,アサリが反転または移動,基質が移動しはじめる流速の発生頻度を整理し,成長に有利な垂下条件について検討した.その結果,本施設内のような波浪環境下での垂下養殖では,「篭の固定」,「基質の配置」は成長に有利と考えられ,基質材はアサリが流速に影響を受けやすい殻長の小さい時期は「砂利」,流速の影響を受けづらい大きさに成長した時期は「軽石」が成長に有利になる可能性が考えられた.