2019 年 75 巻 2 号 p. I_498-I_503
西表島網取湾では,2016年にサンゴの大規模白化が発生した.本研究では,その後の状況を明らかにするために2017および2018年にサンゴ被度,産卵率,稚サンゴ群体数などの調査を実施した.主要な結果は以下である.(1) 2016年に比べて2017年の被度は大きく低下した.さらに,2017と2018年の被度は,ほぼ変化なく低い被度であった.(2) 2017および2018年は,台風によって水温が低下し,大きな白化現象が発生しなかった.(3) 2017および2018年の産卵率は,それぞれ37.5%および65.9%であり,2018年は白化によるダメージから一定量回復した.(4) 稚サンゴ群体数は,特に湾口で多く見られた.(5) 被度の回復は地点レベルで異なり,湾口部や湾中央部網取側から回復していくと予測された.